プロダクション教育 英語 / 映像中心で言語不問

Andrew Huang — にんじんで音楽を作る男が、237万人に「制作の自由」を教えている

Andrew Huang 登録者 約237万人(2026年3月時点)

台所用品で曲を作り、4人のプロデューサーで同じサンプルを料理し、聴覚障害と共に2000曲以上を生み出してきたトロント発の音楽クリエイター。

Andrew Huang — にんじんで音楽を作る男が、237万人に「制作の自由」を教えている

にんじんをくり抜いてリコーダーにする。靴で打ち込みを組む。ケールの袋をサンプリングする。バカげているように聞こえるかもしれないが、出来上がった曲はちゃんと音楽だ。しかも、めちゃくちゃカッコいい。

Andrew Huang は「すべてが楽器になる」を体現するトロント発の音楽クリエイター。YouTube 登録者237万人、総再生3.76億回。20歳で原因不明の聴覚障害を経験しながらも、2,000曲以上をリリースし続けている。

チャンネル概要

  • 登録者数: 約237万人
  • 総再生回数: 3.76億回以上
  • 動画本数: 854本以上
  • 活動開始: 2006年(音楽活動自体は2003年から)
  • 投稿頻度: 週1〜2本
  • 拠点: カナダ・トロント

オタワ出身。ヨーク大学で音楽の学位を取得後、YouTube を主戦場に制作活動を展開。IDM、シンセポップ、ブームバップ、アンビエント、オーケストラと、ジャンルの壁を一切持たない。2024年には Simon & Schuster から著書『Make Your Own Rules』を出版し、クリエイターとしてのビジネスと制作哲学を体系化した。

こんな人におすすめ

  • 音楽制作を始めたいが「正しい機材」「正しいジャンル」に縛られたくない人
  • 「4人のプロデューサーが同じサンプルをどう料理するか」を見比べたい人
  • Ableton Live を使っている(または使い始めたい)人
  • 変わった楽器やDIYサウンドに興味がある人
  • 聴覚障害を持ちながらクリエイティブに生きる人の話に触れたい人

言語・字幕について

映像中心で言語不問のコンテンツが多い。ビートメイキング、機材デモ、音楽パフォーマンスは映像だけで十分楽しめる。チュートリアル系は英語リスニングが必要だが、Ableton の画面共有が主体で視覚的に追いやすい。話し方は明快で聞き取りやすい部類。

チャンネルの雰囲気

Andrew Huang の動画には「制約が創造性を生む」という一貫したテーマがある。台所用品だけで曲を作る、1時間でアルバムを完成させる、アルファベット順に単語を並べてラップする——制約が厳しいほど、出来上がる音楽が面白い。

プレゼンテーションは明るく前向きで、技術的に高度なことをやっていても偉ぶらない。「これ面白くない?一緒にやろうよ」というスタンスが画面から伝わってくる。編集のテンポも良く、冗長な部分がない。

特筆すべきは、他のクリエイターにスポットライトを当てる姿勢。「4 Producers 1 Sample」シリーズでは毎回異なるゲストを招き、自分のスタイルを見せつけるのではなく「同じ素材からこれだけ違う音楽が生まれる」ことを可視化する。セルフプロモーションではなくエコシステムを作る——これが237万人のコミュニティを支えている理由だろう。

注目の動画

「Learn music theory in half an hour.」(1,019万再生)

チャンネル最大のヒット。30分で音楽理論の基礎を一気に駆け抜ける。ビジュアルが分かりやすく、楽器を触ったことがない人でもついていける。

「4 PRODUCERS FLIP THE SAME SAMPLE feat. Red Means Recording, Cuckoo, Rachel K Collier」(304万再生)

チャンネルの看板シリーズ。同じサンプルを4人のプロデューサーがまったく異なるアプローチで料理する。このエピソードでは Red Means Recording と True Cuckoo が共演。

「FAST RAP - 300 words in a minute」(533万再生)

1分間に300語のラップをぶちかます初期のバイラルヒット。テクニカルな凄さとユーモアの両立。

「HIT SONGS OF 2014 - PERFORMED WITH HOUSEHOLD ITEMS」(249万再生)

台所用品だけで2014年のヒット曲を再現。「すべてが楽器になる」の原点。

「Water - a song made out of water.」(131万再生)

水の音だけで1曲を完成させる。サンプリングの可能性を極限まで押し広げた作品。

聴覚障害とクリエイティビティ

20歳のある朝、突然聴力が低下した。低音域のレスポンスが落ち、右耳はより深刻。医学的な原因は未だ不明で、数日だけ聴力が戻ることもあるが、基本的に恒常的な状態が続いている。

この事実をオープンに語り、それでも2,000曲以上を生み出し続けているという事実が、彼のチャンネルに説得力の層を加えている。「完璧な条件がなくても音楽は作れる」というメッセージを、彼は自らの身体で証明している。

YouTube の外の活動

Transit 2(Baby Audio との共同開発プラグイン)

モーションエフェクト/トランジションデザイナー。Sound On Sound の Best Plugin of 2025 を受賞。プロデューサーとしての技術が製品開発にも活きている。

Flip Sampler(iOS / Android アプリ)

サンプルベースのモバイル音楽スタジオ。サンプラー、シーケンサー、パフォーマンスツールを1つのアプリに統合。

First of October(Rob Scallon とのバンド)

毎年10月1日に、1回のセッションでフルアルバムを録音するプロジェクト。2025年までに7枚リリース。2025年は Guitar Center の店内でレコーディングを敢行。

著書『Make Your Own Rules』(2024年、Simon & Schuster)

20年にわたる独立クリエイターとしての経験をまとめた一冊。

チャンネルの歩き方

まずは「4 Producers 1 Sample」から。1本見れば、このチャンネルの「制作の多様性を見せる」という哲学が伝わる。ゲストも毎回豪華。

制作テクニックを学びたいなら「Learn music theory in half an hour」から入って、個別のチュートリアルへ。Ableton Live の画面共有が充実しているので実践的。

純粋にエンタメとして楽しむなら、台所用品シリーズや「300 words in a minute」へ。英語が分からなくても笑える。

機材好きなら、OP-1やPush 2のレビュー動画、Transit 2の開発裏話を。

関連チャンネル

  • Red Means Recording — 「4 Producers 1 Sample」共演者。DAWレス・パフォーマンスの達人
  • True Cuckoo — 「4 Producers 1 Sample」共演者。シンセ×教育の北欧発チャンネル
  • Adam Neely — Ableton Loop 2018 で共にパネル登壇。音楽理論からのアプローチ
  • Kenny Beats — プロデューサー系YouTuberの双璧。Andrew Huang が「幅」なら Kenny Beats は「深さ」
  • Rob Scallon — ギタリスト系YouTuber。「First of October」の相棒
  • Simon Servida — トロント繋がりのビートメイカー。サンプルフリップ系
  • Venus Theory — 制作技法とクリエイターの生き方を横断する点が共通。Andrew が遊びと制約で自由を広げるなら、Venus Theory はサウンドデザインと内省から制作の意図を掘る

まとめ

Andrew Huang は「音楽制作に正解はない」を237万人に伝え続けている。にんじんも水も靴もすべてが楽器になり、ジャンルの壁もない。聴覚障害があっても2,000曲を生み出せる。このチャンネルを見た後は、身の回りのすべてが音楽の素材に見えてくるはずだ。