音楽理論・解説 英語 / 英語字幕あり

Charles Cornell — 映画とゲームの「なぜ刺さる?」をピアノで解く

Charles Cornell 登録者 約191万人(2026年8月時点)

映画、ゲーム、ポップスの名場面を、ジャズ・ピアニストが耳で拾い、鍵盤と音楽理論で解き明かすポップカルチャー分析チャンネル。

『ロード・オブ・ザ・リング』のシャイアは、なぜ数秒で「帰る場所」に聴こえるのか。『オッペンハイマー』のテーマは、どうして拍を数えようとすると足元が揺らぐのか。Wiiの音楽は、なぜ何年経っても妙に耳へ残っているのか。

Charles Cornell は、そんなポップカルチャーの中の「感じていたけれど、説明できなかった音」を拾う。映像を止め、鍵盤で旋律を探し、和音を鳴らし直す。すると、ただの「いいBGM」だったものが、人物や世界を動かす物語として聴こえてくる。ここで音楽理論は答えそのものではなく、感情に字幕を付けるための言葉になっている。

チャンネル概要

  • 登録者数: 約191万人(2026年8月時点)
  • 総再生回数: 2億7,488万回以上
  • 動画本数: 554本
  • チャンネル開設: 2014年4月
  • 運営者: Charles Cornell(ジャズ・ピアニスト、音楽教育者)
  • 主な内容: 映画音楽、ゲーム音楽、ポップスの分析、ピアノ実演、音楽理論、リアクション

Charles は8歳頃、教会でオルガンを弾いていた祖母からピアノを習い始めた。転機はOscar Petersonとの出会い。演奏に衝撃を受けてジャズへ進み、ニューヨーク州オールバニー周辺のジャズ・ピアニストLee Shawに5年間師事した。そこで学んだのは即興や和声だけでなく、「音楽は言語である」という考え方だったという。

Purchase Collegeの音楽院ではジャズを専攻し、Hal Galper、Kevin Hays、Andy LaVerne、David Hazeltineらに学んだ。卒業後はニューヨーク州を中心に演奏と個人レッスンを続け、Blue Note NYC、Dizzy’s Club、Birdland Jazz Clubなどの舞台も経験している。動画でどんな曲に出会ってもすぐ鍵盤へ移せるのは、リアクションの速さだけではない。長く積み上げてきたジャズの耳、和声、即興が土台にある。

こんな人におすすめ

  • 映画やゲームの名場面を、音楽からもう一度味わいたい人
  • コードや旋律を、教科書ではなく耳とピアノで理解したい人
  • ジャズの知識がポップスや劇伴にどうつながるか知りたい人
  • 「この一音でなぜ泣ける?」を言葉にしてみたい人
  • 音楽理論は難しそうでも、作品への好奇心なら持っている人
  • 作曲や編曲で、テーマに物語を持たせる方法を学びたい人

言語・字幕について

解説は英語。代表的な長尺動画では英語の自動字幕を利用でき、YouTubeの自動翻訳も使える。Charlesは感情が動いた瞬間に話す速度も上がり、コード、音程、モードといった用語が続く場面もあるため、英語だけで完全に追うには少し集中力が要る。

一方で、説明は必ず音へ戻ってくる。映像の該当箇所を再生し、旋律を歌い、鍵盤で弾き、画面上にも音名や譜例を出す。言葉を聞き逃しても、「元の音 → 分解した音 → もう一度元の場面」という往復で意味を回収しやすい。知っている映画やゲームの回からなら、英語の音楽理論動画に初めて触れる人でも入りやすい。

チャンネルの雰囲気

一本の動画は、だいたい聴く → 探す → 名前を付ける → 鳴らし比べるという流れで進む。

まずCharles自身が場面や楽曲を観て、耳に引っかかった瞬間で止める。次にピアノで旋律やベースを探し、コードを組み立てる。半音上がっただけなのか、短調の中に長調の音が混ざったのか、テーマ同士が重なったのかを言葉にする。そして別の和音へ置き換えてみせ、「普通ならこうなる。でも、この曲はそちらへ行かない」と差を実演する。

この比較があるから、理論用語を知らなくても変化は耳で分かる。分析済みの楽譜を上から説明する講義というより、優れた耳がその場で音の仕掛けを発見していく実況に近い。驚いた表情や大きなリアクションも飾りではなく、何に耳を向ければ面白くなるのかを視聴者へ伝える案内板になっている。

扱う範囲は広い。映画ならHans Zimmer、John Powell、Howard Shore。ゲームなら『FINAL FANTASY』『ゼルダの伝説』『スーパーマリオ』『ポケモン』。さらにYOASOBI、Steely Dan、The Beach Boys、Jacob Collierからクラシックまで横断する。それでも軸は一貫していて、「有名だから」ではなく、よく聴くと予想以上に巧くできている音楽を見つけるチャンネルだ。

2026年は、単発の話題作を追うだけでなく、作品世界を連作で掘る色が強くなった。6月には『FINAL FANTASY』を4本、7月には『ロード・オブ・ザ・リング』を6本続けて公開。約5週間で10本、長さは多くが16〜20分ほどだ。ひとつのテーマ曲だけでなく、人物、土地、敵、愛情のモチーフが作品全体でどう関係するかまで追えるようになっている。

注目の動画

「The Most Beautiful Song EVER Written For Film」(約369万再生)

映画『夢のチョコレート工場』の「Pure Imagination」を17分かけて分析する一本。旋律と和音を一度ばらし、同じメロディの下でコードを弾き替えながら、夢の入口が開くような響きがどこから来るのかを探る。

長七の柔らかな緊張、解決直前に置かれた意外な和音、調の景色が切り替わる瞬間を、すべてピアノで聴き比べられる。映画音楽、ジャズ和声、Charlesの発見型の語りが最もバランスよくまとまった、最初の一本に向く動画だ。

「5 Happy Birthday Versions | Terrible to Amazing」(約1,016万再生)

誰もが知る「Happy Birthday」を、ぎこちない響きから豊かなアレンジまで5段階で変化させる、チャンネル最多再生の動画。旋律そのものを難しくするのではなく、伴奏、ボイシング、リズム、和声の選び方で同じ曲の表情が変わる。

4分弱と短く、英語がほとんど分からなくても差を楽しめる。「理論を知ると、正解を覚えるのではなく選択肢が増える」というCharlesの教え方が、そのまま音になっている。

「How to Train Your Dragon is a MASTERCLASS in Theme Writing」(約201万再生)

John Powellによる『ヒックとドラゴン』の音楽を、HiccupとToothlessそれぞれのテーマから読み解く。別々に現れた旋律が変形し、受け渡され、やがて同じ飛行シーンの中で結び付く。その過程を追うことで、テーマが人物の名札ではなく、関係の変化を語るものだと分かる。

名曲を「壮大だからすごい」で終わらせず、どの旋律が誰の視点を担い、場面のどこで主導権を渡すのかまで耳で確認する。映画音楽の分析へ深く入りたい人におすすめだ。

「The Wii Theme Music is Unironically Really Good.」(約245万再生)

ゲームを始める前から何度も聴いていたWiiの音楽を、ジャズ・ピアニストの耳で真面目に取り上げる。メニューの背景音として流していた曲から、コードの色、リズムの置き方、遊び心のある音選びを掘り起こす。

「大作映画の劇伴でなくても、分析する価値のある音楽は身近にある」というチャンネルの姿勢がよく見える一本。懐かしさから入り、気付けば和声を聴いている。

『ロード・オブ・ザ・リング』連作

2026年7月の最新シリーズ。「The Lord Of The Rings Theme Should NOT Work But It’s PERFECT」から始まり、シャイア、敵の5拍子、恐怖を作る一和音、二つの愛のテーマへと進む。

Howard Shoreの音楽を一曲ずつ切り離すのではなく、半音の動きや似た音型が、指輪、モルドール、故郷、人物の愛情をどう別々に描くか見比べる。公開順に追うと、映画三部作の中に張られた音の伏線が少しずつ一本につながっていく。現在のCharlesが、リアクション動画からシリーズ型の長編分析へ進んでいることも分かる。

チャンネルの歩き方

まず一本なら、「The Most Beautiful Song EVER Written For Film」から。知っている旋律、ピアノ実演、少し深い和声の話が揃い、このチャンネルの強みを一度に味わえる。

好きな作品があるなら、チャンネル内で作品名を検索する。『ロード・オブ・ザ・リング』『FINAL FANTASY』『スター・ウォーズ』『ジブリ』『ポケモン』などは複数本あり、理論の予習をするより作品の記憶を持って入る方が楽しみやすい。

理論を自分の演奏へ持ち帰りたいなら、「5 Versions」系やピアノ解説へ。同じ旋律で伴奏だけを変え、自分でも一つずつ真似すると、動画が鑑賞から実践へ変わる。

作曲を学びたいなら、John PowellやHoward Shoreのテーマ分析を続けて見る。モチーフを作るだけでなく、別の人物へ渡す、変形する、二つを重ねるという展開の方法が見えてくる。

チャンネルの原点を知りたいなら、「Cardi B’s Uggs」へ。話し声の抑揚をピアノで旋律にし、和音を付ける22秒の動画だ。現在の長尺分析とは見た目が違っても、「見過ごしていた音を拾い、音楽として聴かせ直す」という核はすでにここにある。

52人から始まった、ミームと音楽教育の接続

2019年春、Charlesは話し言葉のピッチとリズムを鍵盤へ写し、コードを付ける短い動画を作った。その一本が「Cardi B’s Uggs」だった。Cardi B本人のリポストをきっかけに複数のSNSへ広がり、本人によれば合計約2,000万回再生。公開前日に52人だったYouTube登録者は増え、短期間で複数プラットフォームに10万人規模の観客が生まれた。

ここで面白いのは、ミーム動画を捨てて音楽教育へ方向転換したのではないことだ。話し声を音符として聴き、合う和音を探す技術は、そのまま映画やゲームの一節を耳でほどく技術でもある。短い笑いを生んだ「聴き直し」を、長尺動画では視聴者が真似できる学び方へ広げた。

2021年にはオンライン教育のCornell Music Academyを立ち上げ、2023年にBetter Pianoへ発展。現在の「Better Piano System」では、譜読みだけから始めず、コード、進行、リズム、パターンを実際の曲へ結び付ける。YouTubeで複雑な響きを分かりやすくする発想が、初心者向けの体系的なピアノ学習にもつながっている。

演奏家としては、Matt Niedbalski、Steven KirstyとのCharles Cornell Trioで活動し、『Your Choice』(2017年)と『Tales』(2019年)を発表している。動画の中の素早い実演だけでなく、ジャズ・ピアニストとして作り、バンドで演奏してきた人でもある。

関連チャンネル

  • David Bennett Music Theory — 同じくピアノでポップカルチャーを解く。Davidが多数の楽曲から規則を整理するなら、Charlesは一つの場面へ入り込み、響きを発見していく
  • 12tone — 楽曲構造を手描きで可視化。鍵盤とリアクションで理解するCharlesとは、同じ分析でも入口が異なる
  • Nahre Sol — 高度なピアノ技術を、聴くことと学ぶことへ開く音楽家。未知のジャンルへ出かけるNahreと、身近な作品を深く掘るCharlesで対照的に楽しめる
  • Adam Neely — ジャズ理論から歴史、文化、聴取の文脈まで掘る。一本の疑問をさらに遠くまで考えたいときに
  • Andrew Huang — 音の仕組みを、制作と遊びへすぐ変換するクリエイター。分析を見た後、自分でも何か作りたくなった人に
  • StudioBinder — 音が場面の感情をどう作るか聞いたあと、画角、ブロッキング、カットが同じ感情をどう設計するか学ぶ

まとめ

Charles Cornellは、映画やゲームの音楽を「専門家だけが読める楽譜」から、誰でも気付ける感情の仕掛けへ戻してくれる。

場面を観て驚き、ピアノで確かめ、別の音と比べる。その順番を一緒にたどるうちに、コード名を全部覚えていなくても耳の焦点が合ってくる。次に同じ作品を観たとき、背景にあったはずの旋律が、登場人物と同じくらいはっきり物語り始めるはずだ。